池田屋様


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小さなエリアに寺社が点在し、黒板塀の土壁やお屋敷など古い佇まいが残る寺町に店を構えて75年。それでも、呉服屋としては決して歴史がある方ではないと、池田屋さんは言います。駅前の道路拡幅にともなう店の建て替えは、これからも地域とともに歴史を刻む店でありたいという思いを再認識する機会となりました。

池田屋で扱う着物は、日常使いのお洒落着ではなく、成人式の振袖を中心に七五三のお着物、卒業式の袴、訪問着など、ハレの日を彩るもの。小さな街で洒落ものだけでやっていくのは正直厳しいのだと、最初に本音を話してくださった奥様。無理に売るのではなく、好きなもので喜んでもらいたい。そのために販売よりもレンタル向けの品揃えを増やしていったのだと言います。最近では成人式の振袖をレンタルするお客様が多く、毎月のように展示会を開催しては様々な振袖から選べる機会を作っているのだそうです。結婚前には百貨店でアパレル販売をしていたというだけあって、奥様の接客はとても気持ち良いものです。碧南市内はもちろんのこと、西尾や高浜からも足を運んでくれる顧客を持つというのもうなずけます。
「どんな色味が好き?から始まって、合いそうな色柄をいくつか出しては、お客様の好みを聞き取りながら『これだ!』という一点を絞り込んでいきます。振袖は成人式という特別な日を彩るもの。その節目に立ち会えることはとても光栄だし、そうした機会にその人に合うものをお出しして、見事にハマった時は本当に嬉しいものです。成人式が終わって振袖を返却にみえた時に「すごくよかったです!」と言って喜んでもらえるのが一番です。」
レンタルには、すでに仕立てている着物を借りる一般的な「レンタル」と、まだ仮縫いの状態でこれから仕立てる着物を借りる「オーダーレンタル」の2種類があります。オーダーレンタルは自分の身丈で仕立ててもらえて、自分が最初に袖を通すことができるというので、最近は人気のようです。もちろん購入もできますが、レンタルであっても仕立て屋さんが自分にぴったりのサイズに合わせてくれます。着物屋とレンタル屋の大きな違いはここにあるのだと言います。

区画整理による店舗の建て替えが急浮上すると、敷地内に併設していたご主人のお母様の住居も合わせたプランニングを行い、同じ建物内にお母様の部屋も作ることになりました。
「以前は3階建てで母の住まいも別でしたから、普通に考えてもかなり狭くなるはずです。それを、限られた空間でどうまとめていくのか、また着物をあまり知らない人が着物屋のイメージをどう作ってくれるかを楽しみに、あまり多くを求めずにお任せしました。その期待以上にデザイナーさんが知恵を絞ってくださり、出てきたプランにはただただ驚くばかり。ボディが2体と小物がきれいに収まる大きなショーウィンドウを、階段の奥に持ってくるという発想は全く想像になかったもので、テンションが上がりましたね。」

着物屋というと、どこか敷居が高く入りづらい印象を持たれてしまうことから、数少ない奥様からのご要望の中に“入りたくなるようなお店。そして入りやすいお店。”というものがありました。店内の様子が分かる大きな窓は必要ですが、着物に陽が当たらないようにもしなければなりません。そこで、窓際に階段を持ってきて、その奥にショーウィンドウが見えるようにしました。また店内の開放的な空間に一役買っているのが植栽です。店内に入って正面に樹木があることで、半屋外のような趣で店内に入ってくることができます。また階段を上がった時にも樹木を眺めつつ、2階の着物フロアへと移動できます。

「着物屋の閉鎖的なイメージとは全く異なるお店になりました。開放感のある空間は、お客様も安心できます。私自身も、レジやカウンターからシンボルツリーを眺めることができるのでとても気に入っています。また2階では、着物を掛けるための衣桁は使用したくなかったので、什器は家具屋さんにお願いするつもりでしたが予算が合わず、そこでラカーサのデザイナーさんから発想をいただき、知り合いの建具屋さんに作ってもらいました。着物が本当に綺麗におさまって、使い勝手もよく、すごく満足しています。この什器と壁紙の柔らかな色味と照明計画とで、着物が一段と映える空間になりました。」
2階へ上がった時、華やかな振袖がずらりと壁一面に飾られているかのように並ぶ光景は圧巻です。ここでは毎月、テーマを設けて着物の展示会を開催し、新作や流行りの色柄を披露しつつ、同じものが二つとない着物の魅力を伝えています。
お店が駅前の通りに面していること、そしてここが寺町であることから、この地域と一体感のある外観にしたかったという奥様。地域の遺産である寺町の景観を生かして、黒・白・土色を基調とした外観にしました。地域と繋がりたいという想いは、お客様のご来店のきっかけづくりを日々行なっている奥様の、地域との関わり方にも表れています。

「毎月テーマを変えてチラシを作り、近所のお客様に手渡しで回るのが日課になっています。特にお母様のお客様はご年配の方も多く、様子を見つつ声をかけて、外に出るきっかけにしてもらえたらなと。今月は抹茶ラテを出すので飲みに来てくださいとか、今月はちょっとしたプレゼントを用意していますよとか。この街には、このやり方があっているように思います。続けていきたいですね。」
1階の奥には膝に持病を持つお母様の部屋を設え、手前の店舗スペースには気軽に楽しめる洋服を揃えて、立ち寄った人たちとおしゃべりができるカウンターを設置。お客様とのコミュニケーションが取れるカフェのような空間にしました。

「この先、母から自分たちの代へとなっていった時には、この1階でまた新しいことができるよう、やりたいことができるように、それを見据えたデザインにしてもらえたことが嬉しかったです。最近は、福祉施設で暮らす子が成人式を迎える時に、振袖の無料レンタルをするようになり、地域のために何かをしたいという想いが強くなってきました。自分のこだわりでなく、お客様のニーズに応えていけるようにしたいです。」
この地域には今も5~6軒ほどの呉服屋があるそうです。そして「最後の一店舗になるまでやり続けろ」というのが先代の言葉。創業当初は着物だけを扱っていたのが、ベビーブームの時にはベビー服を、そして寝具や洋服、真珠や印伝と、その時々で地域の人たちが必要としたもの、欲しいものを揃えてきたと言います。この地域の何でも屋として、最後の一店舗になるまで地域のために尽くしていきたいと話してくれました。





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